Waldorf School of the Peninsula オープンハウス②

前回のオープンハウスは、K-5年生のクラスで、学校の通常授業の日に実際の授業を見せてもらいました。

2回目は、Early Childhood Educationのオープンハウスということで、Nursery Program(3〜4歳)とKindergarten(4〜5歳)、土曜日に見学の親子を対象にした特別体験会と説明会でした。

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Kindergartenの教室に入ると、男の先生が迎え入れてくれました。
まずは、参加者の子どもたちが「にじみ絵」の体験。
奇麗にセッティングされたテーブル、角を丸く切り落とした白い紙、筆、水、赤と黄色の絵の具・・・すべてが整った位置に置かれていました。子どもも大人も、初めてということもあり、静かな空間にちょっとした緊張感。

 

「むかしむかしあるところに・・・」

と、何の予告もなく物語が始まりました。
なんと、筆を大切に扱うための導入でした!!

 

子どもたちの絵は、とても抽象的でおもしろかったです。
にじみ絵は、紙がぬれていて、具体的なもの(家、車など)が描きづらいため、「色を経験する」ということがねらいそうです。
朝、幼稚園に登園して、一枚の紙に集中する時間。
一枚の紙に色を付ける時間、次の予定に何が起こるか、家では何が起こっているか、など、「今・ここ」ではないことを考えない時間を大切にしているそうです。

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保育室の中には、ほんわかしたパステルカラーのカーテン、羊毛の暖かい感じのラグ、木のおもちゃに、家庭用のキッチンとオーブン。「家」にいる気持ちにさせる、心地よい空間が印象的でした。

初めての場所でさぐりさぐり遊び始める子どもたち。
お母さんから離れられない子。
だんだんと遊びが積極的になっていく子。

基本的に保育士は、そこにいて鼻歌をうたいながら見守っているような印象。

 

保育士の方のお話を聞きに、隣の部屋に移動したので、子どもたちの様子はあまり見れなかったのですが、いいなぁと思ったことが2つ。

①おままごと
生活で実際に使っているような陶器の皿、ステンレスの鍋、木の器、マフィン型などを使っている⇒ 大切にものを扱う感覚
机が立った高さ⇒ ものを取るのに自分が動く(運動量が増える)
おままごとというと、ちゃぶ台の前に座ったり、床に座ってままごと(料理など)をするイメージだけれど、そういえば料理って立ってするもんなぁ。と当たり前のことに気がついたり。
子どもの運動スキルの発達にも、立ち仕事は有効だと思いました。


②ネイチャーテーブル

部屋に、子どもが拾ってきたり、取ってきたりした自然のものを飾る机がありました。
どんぐり、松ぼっくり、栗、子どもが干し草で作った人形、子どもが焼いたパンなどなど。
先生に見せたくて、子どもたちが持ってくるのだそうです。
そして、ただ飾っているだけでなく、子どもたちはそれを遊びに使っているのだとか。いいなぁ。
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部屋の中には、羊毛や木のおもちゃ、自然なものがたくさんありました。

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パペットの顔がないのは、ストーリーの中で、その登場人物たちの表情や顔を、子どもたち一人ひとりが想像するためだとか。
実際、この日はノルウェーのお話、「3匹のやぎのがらがらどん」を3人の先生が、パペットを使って演じてくれました。
お話の前にはロウソクに火が灯り、グロッケン(鉄琴)の澄んだ音が静かに始まりを告げる。
糸で吊るされたパペットの動きは、とても表現豊かでした。

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自然木で作った2階。
実際に登れるそうですが、柱の足掛けは、わざと「左足」から登るように設定してあるんだとか。
初めて登る子は、そこで「あれ?」という顔をしながら、登り方を見つけるそうです。

 

シュタイナーの幼児教育の部屋の環境やおもちゃを見ていると、色んな疑問が湧いてきます。

 電池で動くおもちゃを幼稚園に置く意味はなんだろう?
 キャラクターグッズを使う意味はなんだろう?
 幼稚園ビジネスがもたらす、「みんな同じ顔の壁面掲示物」を使う意味はなんだろう?

 

当たり前になっていることを、もう一度考え直すこと。
教育者たちも「なんで?」と子どものように、自分の実践に問いかけること。大切だなぁ・・・
思考停止してないか、いつでも自分に問いかけたいですね。

 

シュタイナー教育では、0~7歳は、家庭の延長というくらい「ホーム感」を大切にするそうです。
家庭とも連携して、メディアや外的な不必要な刺激から守る(シェルターという言葉を使っていました)ことも教育の一貫。
また、毎日のリズムと習慣のために、規則正しい生活を意識してスケジュールを組んでいます。

「子どもたちが呼吸をできるようなリズム」と、先生は言っていましたが、幼稚園にきて、にじみ絵を描くことは、集中し、スイッチを切り替えること。サークルタイム、片付け、スナック、色々な場面で切り替えを大切にしているそうです。

 

今回の先生がたのお話で、とても共感したことは、幼児期を“Pre-academic Stage”であると提案していたことです。
具体的なコト・モノよりも、抽象的なコト・モノを。
認知からの理解よりも、体験からの学びを。
「できること」よりも「やりたい」というような意志を育てること。

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幼児期の子どもの育ちに、答えはないと思うけれど、どんな体験、環境を提供するか、考えさせられました。

Waldorf School of the Peninsula オープンハウス①

Los Altosにあるシュタイナー学校の30周年の記念プロモーション映画の上映会での出会いをきっかけに、10月に入ってすぐにオープンハウス(学校見学)があるということで、参加させてもらいました。

基本的にオープンハウスは、子どもがいる人が参加するものなのに、こちらの素性と熱意を伝えたところ、快諾してくれました。

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このキャンパスには、Nursery(3~4歳)、Kindergarten(4-5歳)、Elementary(1-5年生)が 通っていて、6-12年生は別のキャンパスに通っています。

まずは、シュタイナー学校の概要の説明。
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朝から素敵にコーヒーやリンゴ、クラッカーやチーズが置いてあって、資料や図書もあり、とても丁寧におもてなしをしていただきました。
部屋の前には、K-12年生まで、それぞれどんなことを学ぶのかが、チョークでアーティスティックに書いてありました。
また、実際に生徒たちが作ったノートを自由に閲覧させてくれたことが感動でした。

このノートを書いている子たちはどんな子たちなんだろう・・・と驚くばかり!

たくさんの色と絵。
パステルカラーで手書きのイラスト入りの参考書を見ている気分。
高校生にもなると、人体の骨格や筋肉を全てイラストで再現していたり、幾何学模様の図があったり、絵本のような世界観が広がっていたり・・・。

アートの力って、素晴らしい☆

マインドマップを書くのと同じで、こうやってイラストを細かく描くプロセスは、そのコトを理解したり記憶にとどめたりするのに有効なのだろうなぁ。

そして、実際に教室に入らせてもらって、3年生と4年生の授業を見学。

3年生は、様々な土地の人の生活(家のスタイル?)について学んでいるところでした。
大きなノートには、モンゴルの「ヤート」の絵が描かれ、そこに説明が自分たちの手書きで書かれていました。
絵日記みたいな感じで、すでに一つの「作品」という印象。
文化的背景、自然環境のこと、家の建て方、子どもの遊び方など、様々な話をしていました。
その後の授業では、実際に屋外でヤートをみんなで建てていたようでした。
体験的!

4年生は、北欧のサガの神話を学んでいるところで、バイキングについて話をしていました。
バイキングが、盾と武器を持って船に乗り、盾を船に飾ることで、船を大きく見せたという場面を再現するために、一人ひとり円形の盾を作っていました。
それぞれが違う色、エンブレム、模様で、個性的なものばかりだったのが印象的でした。
その盾を持って、バイキングの闘いの詩を、全員前に出て諳んじてくれました。迫力あったなぁ。

その後、Hand Work(手仕事)の先生のお話を聞きました。
なぜ縫い物?針仕事をするの?という、素朴な疑問を持っていましたが、目からウロコがたくさん落ちました。

・手先の作業をすることで、運動スキルとeye-hand coordination を鍛える。
左から右、上から下に、決まったパターンと動作を繰り返し左右対称に行うことは、文字を書いたり、絵を描くことにつながる。

・意志を育てること
一つずつタスクをこなすこと→成功体験
1年生の最初にHand Workの授業を担当すると、どの子が文字を書くこと、学習、運動に課題を持っているかがすぐにわかるそうです。
幼児期からの身体と神経系の発達は、頭から足先へ、大きな筋肉や身体全体の動きから発達する。
そして、それから手先での細かい運動スキルが発達し、文字が書けたり、作業ができるということ。
まさにPre-academic skill!

幼稚園の身体的な遊びや、手遊びを、こうやってアカデミックに一貫して捉えていることに感動しました。

また、手と脳の発達についての研究と、シュタイナーが1900年代初頭に考えていたことは、なぜかつながることがたくさんあるという話を聞き、シュタイナーという人物について興味がわきました。
作品としては、
1年生で2次元(平面)の作品を作り、2年生で3次元(立体)を作る。
4年生では正対称のデザインをして、それを袋に刺繍。
6年生になると、自立する動物の人形を、紙にデザインと設計図を書くところから取り組む。

IMG_3096(廊下にあった飾り)

デザインの意味を学び、0からモノを作ることを体験することで、何でも自分で作れるということを経験するのだとか。

一つ一つの作品や、動作に、子どもの成長に関する意味と価値があるということが伝わってきました。

その後の全体でのお話や、質疑応答で興味深かったこととしては・・・

◆神経学的に7歳までは、書くことや読むことは早い
→いつ、何が適切かということをシュタイナー教育ではとても配慮する。
準備ができたときに、そのコトを好きになると一気に伸びる。
早期にそのコトを与えられると、嫌いになる可能性がある。

◆Reading(読むこと)を3年生まで教えない
先生の読み聞かせや、神話などを書き写したりはたくさんする。
外からの刺激をためておいてから一気に読み始める。
実際に、3年生になると一気に章立てのある物語などを読み出すそう。

◆高校生まで、学校にコンピューターはない
メディアやテクノロジーから、子どもたちを「守る」=Shelttering
技術や使い方はそんなに教えなくても、高校生は一晩でやり方を掴む。
確かに・・・。
幼稚園、小学校では、家庭教育でもほとんどテレビを見せない方針のようです。

◆4年生まで宿題はほとんどない
最初の宿題は、例えば模型が授業だけでは完成しないから、続きを家でやるという程度のものらしい。
リズムや習慣のある生活をつくることを大切にしているので、宿題もその延長にあるような印象を受けました。
保護者の方が言うには、「子どもたちが自分の興味で勝手に勉強をしていること以外に、宿題は必要かい?」と。

◆シュタイナー学校で学んでいる先生たちが学び続けている
1-8年生まで、基本的に担任は持ち上がり。
教員のトレーニングでは、全ての学年のカリキュラムをトレーニングされているので、基本的に全員がどの学年でも教えられるとのこと。
元々教員ではない人や、公立や他の学校で教員をしていた人が、みっちり学び直して改めて教師としてのスタートを切る。
常に読書をして、知識や思考の幅を広げようとしている。

うんうん。

プロモーションムービーの上映会で見た、「人生への準備」という意味がわかった気がします。
シュタイナーの教育思想は、まだまだ知らないことばかりですが、シリコンバレーの一流企業の人たちが、今このようなユニークな教育を選ぶようになっている、という事実を知りました。
Imagination & Creativityを育てている学校なんだなぁ。

シュタイナー教育「人生への準備」 

子どものしつけ・叱るということについて、色々と考えていて、ネット検索していたら、シュタイナー教育では先生はどう子どもに対峙するのだろうと気になり・・・さらにネット検索。

 

畏敬の念を持ってこどもを受けいれ、

満ち溢れた愛の中で彼らを育て、

自由の中で彼らを送り出していく。

  - R.シュタイナー

という言葉と出会う。

う~ん。いいなぁ。

すると、シリコンバレーのエリアに、Waldorf School of the Peninsula (WSP) というK-12の学校があることを発見。1984年に設立、今年で30周年。

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その30周年の記念に、”Preparing for Life”というフィルムの上映会を、住んでいるところから40分ほどのところでやることを知り、飛び込みで行ってきました。

 

会場に15分遅れで到着すると、ちょうどオープニングトークが終わり、オイリュトミーの教員たちによる高校のMornig Verse(朝の詩)の実演が始まりました。

“オイリュトミーとは、シュタイナーが生み出した運動芸術であり、唯一シュタイナー学校だけにある芸術教科です。オイリュトミーは体操でもなく、ダンスでもなく、そしてパントマイムでもありません。言葉の中に生きる子音や母音、そして音楽の中の流れるメロディーやリズム、拍子や動きを通して表現する運動芸術なのです。”
(引用:東京賢治シュタイナー学校HP:
http://www.tokyokenji-steiner.jp/edu7to15/specialized-studies-course.html

 

静かながらも抑揚のある、朝の光りや風を感じるような詩の朗読に合わせて、5人の先生たちが白いドレスに包まれて、踊るように動く。

とても不思議な世界観でした。何かアートのステージを観ている気分になりましたが、WSPの高校生は、毎朝この詩とオイリュトミーで学校が始まるとのことでした。ふむ。

 

“Preparing for Life” のフィルムは、WSPの教員、卒業生、生徒、保護者が代わる代わるにインタビューを受け、学校での活動や生活の様子をわかりやすく、そしてこの学校の教育が、なぜ21世紀の社会で未来に生きる子どもたちに必要かということを魅力的に撮ったものでした。プロモーション用ということで、今後Youtubeなどにアップされるかもしれないとのこと。

 

フィルムの中で僕が知ったことは、
・基本的に、アカデミックなことだけではなく、全人的な教育を基盤としている
・教員・保護者が、教育に対してとても情熱的
・3~5歳は、たくさんの色、音、など五感を使って、イマジネーションを刺激する環境にいる
・ルールに縛るというよりも、子どもたちのイマジネーションを広げるアプローチ
・小学校3年生までReadingは教えない。けれど、教え始めると子どもたちは一気に読み出す
・高校はかなり集中的に勉強や哲学を学ぶが、アートやスポーツも大切にしている
・高校の先生は、Ph.D を持った専門家が多いため、学術的なレベルがとても高い
・競技スポーツも、他の学校同様に取り組む
・演劇や表現への取り組みが情熱的

イメージ

と、英語を全て理解できたわけではないので、ぜひまた観たいと思っています・・・。

 

終了後に、映像製作者2人(お一人は日本人の方でした!!)、創設者、教員によるパネル・カンバセーション。
映像制作者は、お二人とも子どもをWSPに通わせる保護者とのこと。

特に印象的だったことは、この学校の教員・子どもたち・保護者たちとの関わりは、「喜び」だったという言葉。キャンパスに一歩は入れば、その理由がわかりますよとのこと。

また、シュタイナー教育の教員になるためには、ティーチャートレーニングのクラスを受講する必要があるとのこと。週末クラスを3年間、もしくは集中コースやサマースクールの学びを経て、改めて教員としてスタートラインに立てるとのこと。

過去に、「普通の学校」で教えていた教師が、その教育手法やあり方を一度捨てて、シュタイナー教育の哲学を学び直して再出発・・・。
教師自身が、学び続けている印象を受けました。

シュタイナー教育では、シュタイナーの教育哲学を直接的に子どもたちに教えることはないそうです。
でも、教師のあり方・生き方が、その教育哲学そのものであること。つまり、教師の学びとその実践が、子どもたちに大きな与える影響ということを全員が理解している。

 

教育手法は違えど、まさに全人教育!!

「進みつつある教師のみ 人を教える権利あり」という小原國芳の言葉を思い出します。
自分が、教育の哲学や理念をどれだけ人格化できているかで、子どもに対しても教育的な働きかけができる。

会が終わると、屋外でのレセプションパーティー。

写真 のコピー 2

りんごジュースを片手に、チーズとクラッカーをパクつきながらも、どうしても日本人の制作者の方の話を聞いてみたいと思い、突撃自己紹介。

とても気さくな方で、たくさんお話をしてくださいました。
保護者として、子どもの学力は気になるけれど、全人格的に見ると、それは一側面でしかないということを理解することが大切です、とお話してくださいました。
素晴らしい出会いに感謝です☆

 

このテクノロジーと情報の速いシリコンバレーで、ゆっくりと人格形成の根幹を作り上げていく教育が求められているというちょっとした矛盾が素敵だと思います。

水で早く発芽した植物よりも、土の中でゆっくりと水分を吸収して根を張ってから発芽する植物のほうが強いという話を聞いたことがあります。

変化が多く、なにが起こるかわからない21世紀の社会を生きてく教育に必要な心、意思、マインド・・・。

大人も日々学びですね。